105G41

23歳の男性。引きこもりを心配した両親に伴われて来院した。幼児期に言葉の遅れを指摘され「ことばの教室」に通った。そのころから一人遊びが好きで、友達はできず自宅でゲームばかりしていた。小中高校を通じて、学業成績は良好であったが、不器用で、体育は不得意であった。大学に進学し留年もせず卒業したが、就職活動では書類審査は合格するが面接試験ですべて不合格となった。最近は自宅にこもりゲームに興じていることが多い。こだわりが強く、家族がゲームを止めさせようとすると興奮し暴れる。会話では吃音が目立ち、視線を合わせない。表情には感情表出が乏しい。
診断に有効な心理・精神機能検査はどれか。
簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]
Wechsler成人知能検査〈WAIS-III〉
田中・Binet式知能検査
Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
ウィスコンシンカードソーティングテスト〈WCST〉

解答: b

105G41の解説

引きこもりの若年男性。「学業成績は良好であったが、不器用で、体育は不得意であった」「就職活動では書類審査は合格するが面接試験ですべて不合格となった」「家族がゲームを止めさせようとすると興奮し暴れる」といった記載からは自閉症スペクトラム障害〈ASD〉が考えやすい。
 診断に有効な心理・精神機能検査はどれか。
a 多くの神経疾患に有用な検査であるが、帯に短し襷に長し、で特に本疾患を診断するのに向いているとはいえない。
b 正しい。Wechsler成人知能検査〈WAIS-III〉では項目ごとの知能を算出することができ、ASDに特徴的な達成度のばらつきを示すことができる。これが診断に有用。
c b同様、知能検査に分類されるものではあるが、項目ごとの達成度を算出することができない。
d 認知症の検査である。
e 前頭葉機能の検査である。

正答率:53%

テーマ:自閉症スペクトラム障害〈ASD〉の検査

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