104D39

27歳の女性。発熱と左腰部痛とを主訴に来院した。2日前から排尿時痛があり、昨晩から悪寒戦慄を伴う39℃台の発熱と左腰部痛とが出現した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。体温39.4℃。左肋骨脊柱角部に叩打痛を認める。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血1+、沈渣に赤血球10~20/1視野、白血球100以上/1視野。腹部超音波検査に異常を認めない。
起炎菌として最も考えられるのはどれか。
ブドウ球菌
淋菌
大腸菌
緑膿菌
結核菌

解答: c

104D39の解説

若年女性の排尿時痛で真っ先に考えるのは急性膀胱炎である。しかし、膀胱炎では発熱や悪寒戦慄などの全身症状は認めない。膀胱炎から感染が上流へ波及し腎盂腎炎となってしまうと、激しい全身症状が認められる。高熱と肋骨脊柱角の叩打痛、尿中白血球の存在からも腎盂腎炎と考えて矛盾はないだろう。
a 皮膚軟部組織の感染症で認めやすい。
b 性感染症で認められることが多い。淋菌やクラミジアの感染が骨盤内に波及するとFitz-Hugh-Curtis症候群となり肝周囲炎や腹膜炎をきたす。本症例でも、年齢的に疑うべき疾患ではあるが、腹部超音波にて異常を認めず、可能性は低い。
c 正しい。尿路感染症の起因菌として最も多いのが大腸菌である。特に女性の場合、尿道と肛門の位置が近いため感染源となりやすいと言われている。
d 尿道カテーテルが長期留置されていたり、耐性菌ができやすい環境であったりすると緑膿菌でも腎盂腎炎を起こし得るが、基本的には特殊な環境下でなければ考えにくい。
e 結核菌が原因となるケースもないわけではないがかなり少ない。また、腎結核の場合、無症状であることが多い。

正答率:91%

テーマ:急性腎盂腎炎の原因菌

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