103A38

28歳の女性。突然の下腹部痛を主訴に来院した。月経周期28日型、整。月経痛はない。内診で骨盤内に新生児頭大の可動性のある腫瘤を触知する。免疫学所見:CA125 24 U/mL(基準35以下)、CA19-9 98 U/mL(基準37以下)、SCC 1.2 ng/mL(基準1.5以下)。骨盤部単純MRIのT1強調像(A)と脂肪抑制T1強調像(B)とを別に示す。
診断はどれか。
黄体嚢胞
チョコレート嚢胞
漿液性嚢胞腺腫
粘液性嚢胞腺腫
成熟嚢胞性奇形腫

解答: e

103A38の解説

突然の下腹部痛が出現した28歳の女性である。内診で骨盤内に新生児頭大の可動性のある腫瘤を触知し、CA19-9は高値である。Aではhail ballを認め、脂肪抑制T1強調像であるBでは脂肪成分の抑制がみられるため、成熟嚢胞性奇形腫の診断となる。突然の下腹部痛からは茎捻転が示唆されるが、SCCは正常低値であることから悪性転化はなさそうだ。
a 黄体嚢胞(ルテイン嚢胞)は正常妊娠中にみられ自発症状に乏しく、画像所見も異なる。
b チョコレート嚢胞は子宮内膜症が卵巣に生じたものである。血中 CA125 が上昇し卵巣内の点状・高輝度エコーがみられるはずであり、本例とは臨床像が異なる。
c・d MRIにて充実成分と嚢胞とがみられるはずであり、突然の下腹部痛の説明もつかない。嚢胞腺腫であれば病理所見も欲しいところである。
e 正しい。上記の通り。

正答率:90%

テーマ:成熟囊胞性奇形腫の診断

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