103A26

30歳の女性。不妊と月経異常とを主訴に来院した。初経は13歳で、月経周期は60~90日と不順であった。身長158 cm、体重70 kg。両下肢に多毛を認める。基礎体温は低温一相性。子宮卵管造影と夫の精液検査とに異常を認めない。左右卵巣の経腟超音波写真を別に示す。
正しいのはどれか。2つ選べ
高FSH血症である。
男性化徴候を認める。
クロミフェンは無効である。
卵巣楔状切除術が第一選択である。
ゴナドトロピンで卵巣過剰刺激症候群を起こしやすい。

解答: b,e

103A26の解説

不妊と月経異常とを認めている30歳の女性である。月経周期は60~90日と希発月経である。身長158 cm、体重70 kg、BMI=28.0と肥満があり、左右卵巣の経腟超音波写真にて多嚢胞卵巣( necklace sign )を認めていることから多嚢胞性卵巣症候群〈PCOS〉の診断となる。
a  GnRH 分泌亢進により FSH も分泌が促進されるが、LH高値によってエストロゲン分泌が増加することで卵巣由来のインヒビンが増加し、これが下垂体由来の FSH 分泌を抑制するため最終的には正常範囲内に収まる。
b 正しい。LH分泌が増加することによりアンドロゲン分泌が増加し、多毛や 痤瘡(ニキビ) など男性化徴候を認める。本例でも両下肢に多毛を認めており合致する。
c 第1度無月経を認めるPCOSに対し、クロミフェンは有効である。
d PCOSの薬物療法抵抗性の場合、腹腔鏡下卵巣多孔術が選択されることが多く、卵巣楔状切除術は行われない。
e 正しい。ゴナドトロピン療法の後に卵巣過剰刺激症候群を合併することがある。

正答率:86%

テーマ:多嚢胞性卵巣症候群〈PCOS〉の病態

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