102A31

2歳の女児。右下腿痛のため母親に連れられて救急外来を受診した。3時間前に階段から落ち、様子を見ていたが痛がるため連れてきたと言う。意識は清明。身長81cm、体重9.0kg。医師と目を合わせず、診察中かなり痛そうにするが、こらえて声を出さない。両下腿の皮膚に数か所、小さな丸い褐色の瘢痕がある。右下腿には腫脹があるが、足部の循環と運動とは良好である。右下肢のエックス線単純写真で大腿骨と脛骨とにらせん骨折があり、大腿骨には仮骨がみられる。胸部エックス線写真で癒合した肋骨骨折を認める。当直医は右下肢にシーネを当てて骨折部を保護した。
対応として適切なのはどれか。
入院させ、患児が精神的に落ち着くまで母親に付き添ってもらう。
入院させ、脛骨骨折が癒合するまで右下肢の直達牽引を行う。
入院させ、全身麻酔下に脛骨の骨接合術を行う。
入院させ、児童相談所に届け出る。
患肢挙上を指示して帰宅させる。

解答: d

102A31の解説

右下腿痛のため母親に連れられて来院した2歳の女児。身長81cm、体重9.0kgと、やや発育不良である。診察中、医師と目を合わせず、痛そうにするがこらえて声を出さない。両下腿の皮膚に数か所、小さな丸い褐色の瘢痕があることからは児童虐待が疑われる。右下肢のエックス線単純写真にて大腿骨と脛骨とにらせん骨折を認める。大腿骨には仮骨がみられ、胸部エックス線写真では癒合した肋骨骨折を認めることから虐待による骨折が強く示唆される。
a 患児が精神的に落ち着いていないのは母親が原因である可能性もあり、適切ではない。
b・c 足部の循環と運動とは良好であり、治療はシーネ固定のみで十分である。
d 正しい。患者を入院させ、児童相談所に児童虐待として届け出る。
e 児童虐待が疑われるため、帰宅させるわけにはいかない。

正答率:98%

テーマ:被虐待児への対応

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