102E61

次の文を読み、61~63の問いに答えよ。
68歳の女性。複視を主訴に来院した。
現病歴:1か月前から物が二重に見えるようになった。同じころから上の方を見上げると、右目に異物があるような感じがするようになった。眼科を受診したところ、視力に異常はないが眼底に出血があると言われた。脳神経外科で受けた頭部MRIでも異常がないと言われた。症状が良くならないので、精密検査を希望して来院した。
既往歴:10年前から糖尿病で内服薬を服用している。
現 症:意識は清明。身長158cm、体重56kg。体温36.2℃。脈拍72/分、整。顔面の発汗に左右差はない。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛や抵抗を認めない。起立・歩行障害はない。四肢に不随意運動はなく、頭痛、失語・失行・失認および項部硬直を認めない。正面視における顔の写真を別に示す。
検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖2+。血液所見:赤血球429万、Hb 13.6g/dL、Ht 41%、白血球6,000、血小板27万。血液生化学所見:空腹時血糖146mg/dL、HbA1c 6.8%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.4g/dL、アルブミン4.5g/dL、尿素窒素13.0mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、AST 19U/L、ALT 24U/L、Na 141mEq/L、K 5.1mEq/L、Cl 103mEq/L。CRP 0.1mg/dL。
右目にみられる症候はどれか。2つ選べ
眼球突出
眼球陥凹
眼瞼下垂
眼球外転
縮瞳

解答: c,d

102E61の解説

高齢女性の複視。10年前から糖尿病で内服薬を服用しており、眼底出血もあるようだ。尿糖2+、空腹時血糖146mg/dL、HbA1c 6.8%といった記載からはコントロール不良であることが予想される。正面視における顔の写真では右眼の外転と眼瞼下垂がみられる。糖尿病性ニューロパチーによる動眼神経麻痺が複視の原因として最も考えやすい。
a 眼球突出はBasedow病などでみられる。
b 眼球陥凹はHorner症候群などでみられる。
c・d 正しい。上記の通り。
e 画質の問題もあり、提示された画像から散瞳か縮瞳かを評価するのは難しい。ここは病態を考えて導こう。動眼神経麻痺では散瞳する。

正答率:84%

テーマ:【長文1/3】動眼神経麻痺の症候

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