102E54

58歳の女性。歩行中に自動車にはねられたため搬入された。意識は清明。身長156cm、体重58kg。体温36.2℃。呼吸数24/分。脈拍96/分、整。血圧106/62mmHg。左側胸部と腰部とに打撲痕があり自発痛を訴える。来院15分後に気分不快と寒気とを訴え、不穏状態となった。胸部エックス線写真(A)と骨盤エックス線単純写真(B)とを別に示す。
直ちに投与すべきものはどれか。
ヘパリン
ジアゼパム
アドレナリン
乳酸加リンゲル液
広域スペクトル抗菌薬

解答: d

102E54の解説

歩行中に自動車にはねられたため搬入された58歳の女性。左側胸部と腰部とに打撲痕があり自発痛を訴える。来院15分後に気分不快と寒気とを訴え、不穏状態となった。胸部エックス線写真(A)では明らかな左気胸や血胸、肋骨骨折は認めない。骨盤エックス線単純写真(B)では両側恥骨骨折と両坐骨骨折を認める。骨盤骨折は腹腔内出血による出血性ショックをきたすことがある。本症例も、呼吸数増加、脈拍数増加に加え来院後不穏になっていることから出血性ショックを来した可能性を考える。
a ヘパリン投与によりさらに出血を助長されるため、出血が疑われる際には投与してはならない。
b ジアゼパムは鎮静剤であり、不穏状態に対する治療薬として挙げられているのだろう。血圧をさらに低下させる恐れがあり投与は慎重に行う。
c 出血性ショックにより循環血漿量が低下している状態で末梢血管を収縮させるアドレナリンを投与すると、臓器虚血を助長されてしまう。
d 正しい。出血性ショック時の対応としては、細胞外液の大量輸液である。
e 抗菌薬は現時点で不要。循環動態の安定化が最優先される。

正答率:89%

テーマ:外傷による骨盤骨折の治療

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