101H28

80歳の男性。無尿とむくみとを主訴に来院した。5日前に発熱と喉の痛みとがあり、近医を受診し薬を処方され3日間服用した。発熱は改善したが、2日前から尿が出なくなり、今朝から顔面と下腿とに浮腫が出現している。意識は清明。身長168cm、体重56kg(近医受診時52kg)。体温37.0℃。呼吸数24/分。脈拍80/分、整。血圧180/92mmHg。眼瞼と下腿とに浮腫を認める。両側下肺野にcoarse cracklesを聴取する。臥位になると苦しいと訴え、坐位で軽減する。排尿はなく尿所見不明。血液所見:赤血球350万、Hb 10.2g/dL、Ht 32%、白血球7,000、血小板16万。血清生化学所見:総蛋白6.1g/dL、アルブミン4.3g/dL、尿素窒素72mg/dL、クレアチニン5.2mg/dL、尿酸8.0mg/dL、Na 135mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 102mEq/L。
病態を考える上で重要な情報はどれか。2つ選べ
喫煙歴
父親の死因
過去の職業
服用薬の内容
前回の血清クレアチニン値

解答: d,e

101H28の解説

無尿とむくみとを主訴に来院した高齢男性である。乏尿、浮腫、体重増加を訴え、尿素窒素72mg/dl、クレアチニン5.2mg/dl、尿酸8.0mg/dl、K 5.0mEq/lと腎不全がありそうだ。近医を受診し薬を処方され3日間服用したという病歴から、解熱鎮痛薬による急性尿細管壊死や急性間質性腎炎が疑われる。
a 喫煙歴だけでは腎障害との関連性聴取に有用とはならない。
b 遺伝性の腎疾患であれば幼少期より症状が出るはずであり、臨床像が異なる。
c 職業性薬物中毒を疑わせるエピソードに乏しい。
d 正しい。解熱鎮痛薬の1つである非ステロイド系抗炎症薬は腎毒性があり、腎障害をきたすことがある。
e 正しい。薬物による急性腎不全であれば前回の血清クレアチニン値は正常のはずである。

正答率:90%

テーマ:薬剤性腎障害の病態を考える上で重要な情報

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