101A58

56歳の男性。物忘れとふらつきとを主訴に来院した。3か月前から物忘れが始まり、歩行時にふらつくようになった。性格的には元々おとなしい人だったが、1か月前から怒りっぽくなり、時々興奮することに家族が気付いた。最近、物を持とうとすると、右手がピクピク震えるようになった。5年前から肝硬変を指摘され、食事療法を受けている。認知症の家族歴はない。意識は清明。身長168cm、体重62kg。体温36.0℃。呼吸数20/分。脈拍76/分、整。血圧130/76mmHg。貧血と浮腫とはない。心音と呼吸音とに異常を認めない。見当識障害、四肢の筋固縮、右上肢のミオクローヌス、四肢の深部腱反射亢進、右手の把握反射および歩行失調を認める。運動麻痺はない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球474万、Hb 14.6g/dL、Ht 40%、白血球3,500、血小板10万。血清生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.7g/dL、尿素窒素9.2mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、AST 55U/L、ALT 40U/L、LD 460U/L(基準176~353)。脳波を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
肝性脳症
てんかん重積
Alzheimer病
単純ヘルペス脳炎
Creutzfeldt-Jakob病

解答: e

101A58の解説

中年男性の物忘れとふらつき。3か月前から始まったという認知症症状は、急速に進行し、現在では人格変化もみられている。「物を持とうとすると、右手がピクピク震える」のはミオクローヌスであろう。脳波では周期性同期生放電〈PSD〉がみられており、Creutzfeldt-Jakob病〈CJD〉と考えられる。
a ダミー情報として肝硬変の既往歴が示してあるも、羽ばたき振戦〈アステレキシス〉といった肝性脳症に特徴的な記載もなく、否定的。
b てんかん重積は数分〜数時間の経過でみられる。3か月もの期間続くことはない。
c Alzheimer型認知症が3か月でここまで悪化することはない。もっと緩徐な進行をみる。
d 単純ヘルペス脳炎では発熱などの炎症症状をみる。
e 正しい。上記の通り。

正答率:68%

テーマ:Creutzfeldt-Jakob病〈CJD〉の診断

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし