101A51

62歳の男性。2か月前からの下肢のむくみと視力低下とを主訴に来院した。45歳ころから健康診断で尿糖陽性と高血糖とを指摘されていたが放置していた。55歳ころには高血糖とともに尿蛋白と高血圧とを指摘されたが自覚症状がないため受診しなかった。身長170cm、体重82kg。血圧188/94mmHg。貧血と黄疸とを認めない。眼底には点状・しみ状出血と綿花様白斑とが多数認められ、一部に新生血管も認められる。胸部と腹部とに異常を認めない。尿蛋白3+。血清生化学所見:空腹時血糖164mg/dL、HbA1c 8.5%(基準4.3~5.8)、総蛋白5.8g/dL、尿素窒素30mg/dL、クレアチニン2.1mg/dL、総コレステロール280mg/dL、トリグリセライド128mg/dL。1日摂取エネルギー量を指導し、インスリン治療を開始した。
ほかに必要なのはどれか。2つ選べ
減塩
運動療法
高蛋白食
降圧薬投与
抗凝固薬投与

解答: a,d

101A51の解説

7年前から高血圧と糖尿を放置し、2か月前から下肢のむくみと視力低下とを生じている高齢男性である。主訴に来院した。45歳ころから健康診断で尿糖陽性と高血糖とを指摘されていたが放置していた。尿蛋白3+。総蛋白5.8g/dl、総コレステロール280mg/dlであり、ネフローゼ症候群と考えてよいであろう。トリグリセライド128mg/dl。尿素窒素30mg/dl、クレアチニン2.1mg/dlと腎機能も低下していることから、糖尿病性腎症の診断である。空腹時血糖164mg/dl、HbA1c 8.5%であり、眼底には点状・しみ状出血と綿花様白斑とが多数認められ、一部に新生血管も認められることから、糖尿病網膜症を合併している。さらに、188/94mmHgとIII度高血圧であり、血糖コントロールに加え、高血圧の治療も必要である。
a 正しい。減塩指導はまず行うべき降圧治療である。
b 糖尿病性網膜症に対しての運動療法は眼底出血のリスクを高めるため禁忌。
c 糸球体障害が増悪してしまうため、糖尿病性腎症では低蛋白食とする。
d 正しい。血糖コントロールに加え、 レニン・アンジオテンシン系抑制薬での降圧が第一選択となる。
e 糖尿病性網膜症に対しての抗凝固薬は眼底出血のリスクを高めるため禁忌。

正答率:84%

テーマ:糖尿病に合併する高血圧への対応

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