100H15

19歳の男性。バイクで走行中に転倒し、救急車で搬入された。呼吸数24/分。脈拍104/分、整。血圧88/60mmHg。SpO2 90%(酸素10L/分投与下)。呼び掛けると開眼する。瞳孔は左右とも4mmで対光反射はある。前額部に5cm長の挫創がありガーゼで圧迫止血されている。右側胸部から右上腹部に打撲痕がある。右胸部は吸気時に陥凹し、呼気時に突出し、握雪感を認める。右胸部の呼吸音は聴取しない。腹部は平坦で、腸雑音を聴取する。右上腹部に圧痛がある。骨盤に可動性はない。四肢に擦過傷を認めるが、運動障害と感覚障害とを認めない。末梢静脈路を確保して乳酸加リンゲル液の投与を開始した。
次に行うのはどれか。
輸血
気管挿管
腹腔穿刺
右胸腔ドレナージ
左鎖骨下静脈穿刺

解答: d

100H15の解説

バイクで走行中に転倒し、救急車で搬入された19歳男性。酸素10l下でSpO2 90%と呼吸不全を認める。右側胸部から右上腹部に打撲痕があることから該当部分の損傷を鑑別に挙げよう。右胸部が吸気時に陥凹し呼気時に突出することからはflail chestを、握雪感を認めることからは気胸を考える。
a まず行うことは呼吸状態の是正である。
b 気胸下の陽圧換気は状態を悪化させるため禁忌。
c 腹腔穿刺は不要。
d 正しい。胸腔ドレナージによる脱気を行う。
e 末梢静脈路は確保できており、中心静脈路は現時点で急ぐものではない。また左鎖骨下静脈穿刺は左気胸のリスクであることから、中心静脈路確保するとしても不適切なアプローチである。

正答率:80%

テーマ:多発外傷の治療

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