100A47

4歳の女児。けいれん発作を主訴に来院した。3歳児健康診査で言葉の遅れを指摘された。4歳5か月時、保育所で昼寝中に意識障害と全身けいれんとを起こした。身長94.0cm(-2.5SD)、体重12.0kg(-2.0SD)。体温36.8℃。呼吸数30/分。脈拍80/分、整。四肢と腰背部とに多毛がみられる。脳脊髄液所見:細胞数2/μL(基準0~2)、蛋白25mg/dL(基準15~45)、糖59mg/dL(基準50~75)。血清生化学所見:血糖130mg/dL、アンモニア40μg/dL(基準18~48)、乳酸82mg/dL(基準5~20)、ピルビン酸4.0mg/dL(基準0.3~0.9)。頭部単純MRIのT2強調像を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
MELAS
もやもや病
多発性硬化症
結節性硬化症
急性散在性脳脊髄炎

解答: a

100A47の解説

けいれん発作をおこした4歳の女児である。身長94.0cm(-2.5SD)、体重12.0kg(-2.0SD)と成長の遅れがあり、多毛がみられている。血糖130mg/dl、アンモニア40μg/dl、乳酸82mg/dl、ピルビン酸4.0mg/dlと高値であり、頭部単純MRIのT2強調像にて後頭葉の脳梗塞を認めていることから、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)の診断となる。
a 正しい。上記の通り。
b もやもや病では頭部MRIにてWillis 動脈輪を構成する動脈に側副血行が形成さるはずであり、本例とは臨床像も異なる。
c 多発性硬化症は症状の時間的、空間的多発が特徴であり、頭部 MRI にてみられる多発性の高信号域もなく、否定的。
d 皮膚症状に乏しく、精神発達遅滞もないため、結節性硬化症ではない。
e 感冒症状もなく、頭部MRIのT2 強調像にて白質部分の散在性高信号病変もみとめないことから急性散在性脳脊髄炎は考えにくい。

正答率:92%

テーマ:ミトコンドリア脳筋症の診断

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