100A35

4歳の男児。1週前からの発熱と関節痛とを主訴に来院した。意識は清明。皮下に出血斑を認める。眼瞼結膜は軽度貧血様。腹部はやや膨隆している。肝は右肋骨弓下に4cm触知し、脾は左肋骨弓下に3cm触知する。血液所見:赤血球380万、Hb 8.2g/dL、白血球320,000、血小板2万。骨髄塗抹染色標本で小型リンパ芽球様細胞を97%認める。
抗腫瘍薬による寛解導入療法開始時に生じやすいのはどれか。2つ選べ
敗血症
高尿酸血症
高カリウム血症
低ナトリウム血症
播種性血管内凝固〈DIC〉

解答: b,c

100A35の解説

4歳男児の発熱、関節痛、出血傾向、貧血、肝脾腫。白血球が異常高値であり、血小板が低下、骨髄塗抹染色標本で小型リンパ芽球様細胞を97%認めることから急性リンパ性白血病〈ALL〉と考える。抗腫瘍薬による寛解導入療法開始時に生じやすいのは腫瘍崩壊症候群である。
a 長期治療継続による免疫低下により易感染性となるが、本問では「〜療法開始時」と聞かれているため題意をみたさない。
b・c 正しい。細胞が崩壊し、尿酸とカリウムとが漏出する。
d ナトリウム血症は脱水により上昇するかもしれないし、副作用により低下するかもしれない。また変動しないかもしれない。何とも言い切れないため、選択肢として切りきれない。が、b・cが明らかに正しいため、積極的に選ぼうとは思わない。
e 播種性血管内凝固症候群〈DIC〉を特にきたしやすいわけではない。血液領域でDICを合併しやすい病態としては血球貪食症候群と急性前骨髄球性白血病〈APL〉とを覚えておこう。
101A34の類題。

正答率:67%

テーマ:腫瘍崩壊症候群で生じやすいこと

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