108A55

12歳の女児。7日前からの発熱と全身の倦怠感とを主訴に来院した。生来健康であった。2週前から活気のないことに家族が気付いていた。7日前から発熱し、自宅近くの診療所で抗菌薬を投与されたが改善しなかった。顔色は不良である。腹部では肝臓を右季肋下に4cm、脾臓を左季肋下に2cm触知する。血液所見:赤血球316万、Hb 6.4g/dL、Ht 27%、白血球32,000(異常細胞65%)、血小板2.3万。LD 3,015U/L(基準176~353)。骨髄穿刺所見:細胞数60万/mm3(基準10万~25万)(異常細胞98%)、異常細胞のペルオキシダーゼ染色は陰性、表面抗原検査はCD10とCD19は陽性、CD3とCD13は陰性。
この疾患の予後に影響する因子はどれか。2つ選べ
LD値
性別
年齢
白血球数
骨髄の異常細胞比率

解答: c,d

108A55の解説

骨髄での異常細胞増殖が過剰であり、白血病を想定する。血小板2.3万と低値がみられ、ペルオキシダーゼ染色が陰性であることから、急性リンパ性白血病〈ALL〉を考えたい。CD10とCD19が陽性、とのことでB細胞性が考えられる。
a LDの上昇は非特異的。
b かつて男児は精巣再発がみられるため予後因子とされた。しかしながら近年は再発予防がしっかりしてきたなどの理由により男児と女児の予後に差がなくなってきたため、現在は性別を予後不良因子に含めないという考え方にシフトしている。
c 正しい。1歳未満と10歳以上は予後不良因子とされる。
d 正しい。白血球が著増している場合は予後不良と予想とされる。
e 骨髄の異常細胞比率は、急性白血病にて上昇するのが前提であり、予後とは関係しない。

正答率:62%

テーマ:急性リンパ性白血病〈ALL〉の予後に影響する因子

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