111I76

45歳の男性。職場の廊下で倒れているところを同僚に発見され救急車で搬入された。同僚や家族によると最近、ときに異常な言動がみられたという。常用薬はない。身長172cm、体重84kg(ともに家族からの情報)。体温36.5℃。心拍数110/分、整。血圧140/70mmHg。呼吸数18/分。呼びかけにかすかにうなずき、痛み刺激に反応する。全身の発汗が著明である。胸腹部に異常を認めない。血液生化学所見:血糖28mg/dL、Na 138mEq/L、K 3.7mEq/L、Cl 99mEq/L、空腹時インスリン〈IRI〉42μU/mL(基準17以下)、空腹時Cペプチド5.6ng/dL(基準0.6〜2.8以下)。心電図、胸腹部エックス線写真、腹部超音波検査および頭部CTで異常を認めない。

鑑別診断に必要な検査はどれか。2つ選べ

血中カテコラミン濃度の測定
血中抗インスリン抗体の測定
血中グルカゴン濃度の測定
血中コルチゾール値の測定
腹部造影CT

解答: b,e

111I76の解説

中年男性の意識障害。全身の発汗が著明であり、交感神経が活性化していることが読み取れる。空腹時インスリン〈IRI〉が高値で、空腹時Cペプチドも高値であることからインスリンが体内で過剰産生されている病態を想起しよう。インスリノーマやインスリン自己免疫症候群が鑑別に挙がる。
a 褐色細胞腫で測定する。同疾患では高血糖をみる。
b 正しい。インスリン自己免疫症候群で測定する。
c グルカゴノーマで測定する。同疾患では高血糖をみる。
d Cushing症候群やAddison病で測定する。これらの疾患では血中インスリンが高値とならない。
e 正しい。腹部造影CTでインスリノーマを検索する。

正答率:70%

テーマ:インスリン高値により低血糖を呈した患者の鑑別診断に必要な検査

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