111I60

10歳の男児。発熱のため父親に連れられて来院した。5か月時に慢性肉芽腫症と診断された。5日間にわたる発熱と食欲不振が改善しないため受診した。意識は清明。身長134cm、体重29kg。体温38.2℃。脈拍80/分、整。血圧90/50mmHg。SpO2 99%(room air)。咽頭は発赤を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右季肋部に叩打痛を認める。血液所見:赤血球395万、Hb 10.5g/dL、Ht 32%、白血球10,200(桿状核好中球19%、分葉核好中球43%、好酸球4%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球27%)、血小板46万。血液生化学所見:総蛋白7.3g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST 28U/L、ALT 22U/L、LD 240U/L(基準254〜544)、ALP 550U/L(基準359〜1,110)、尿素窒素10mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 11mg/dL。腹部造影CTを別に示す。

考えられるのはどれか。

肝嚢胞
肝膿瘍
肝芽腫
肝血管腫
肝脂肪腫

解答: b

111I60の解説

慢性肉芽腫症とすでに診断されている10歳児。右季肋部の叩打痛からは肝や胆の炎症を疑う。腹部造影CTにてリング状の濃染を2つ認めていることから肝膿瘍を考えたい。選択肢の中に炎症を呈するものは1つしかなく、非常に易しい出題と言える。
a CTでは内部が均一となる。
b 正しい。上記の通り。
c 小児に好発する腫瘍である。肝細胞癌と類似のCT所見がみられ、腹部腫瘤やAFPの高値をみる。
d ダイナミックCTにて周囲からジワジワと染まる経時変化をみる。
e 文字通り、CTでは脂肪成分が指摘される。

※参考画像として、89E20(肝芽腫のCT)を抜粋しておく。本症例のCTとは異なることが分かるだろう。
画像解説

正答率:95%

テーマ:慢性肉芽腫症〈CGD〉の児に発生した肝膿瘍の診断

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