111H26

83歳の女性。1か月前から続く不眠と食欲低下とを主訴に来院した。高血圧症で自宅近くの診療所を定期受診しており、血圧コントロールは良好である。既往歴に特記すべきことはない。血液検査、腹部超音波検査および上部消化管内視鏡検査で異常を認めない。半年前に夫を1年間の看病の後に亡くしている。

医療面接における医師の発言として適切でないのはどれか。

「体重の変化はいかがですか」
「死にたいと考えたりしたことはありませんか」
「長期間にわたり看病されたのですね、頑張りましたね」
「原因が明らかになるまで検査を繰り返し続けましょう」
「ここ半年の体の調子や気持ちの面での変化を教えてください」

解答: d

111H26の解説

不眠と食欲低下とを主訴に来院した83歳女性。半年前に夫を亡くしており、心理的側面へのケアが必要となる。
a 食欲が低下しているため、体重減少がないかを聞く。
b 抑うつ傾向となっている可能性があり、希死観念の聴取は有効である。
c 看病生活をやり遂げたことに対してねぎらいの言葉をかけることは大切である。
d 誤り。すでに3つの検査を行っているにもかかわらずまだ検査を行うことを伝えれば患者は疲れてしまうかもしれない。必要であれば仕方ないが、安易に気分が滅入るような言葉をかけるものではない。
e 症状の経過や気持ちの変化をたどるのは有用である。
※常識的センスで対応可能であり、正答率も約95%と高い。しかし、逆に言えば5%程度の者は誤答したわけだ。「自分だったら原因が明らかになるまで徹底的に検査を繰り返してもらったほうが安心!」などと考えてしまうためであろう。大半の受験生と異なる思考プロセスを持つ者は一定数おり、必修で不合格となる深刻な原因といえる。万が一、本問で間違えてしまった(もっといえば少しでも悩んでしまった)者が本解説を読んでいたら、心されたい(必修問題をいたずらに数多く解くより、思考プロセスの修正を行うことが優先となる)。

正答率:94%

テーマ:医療面接における医師の発言

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