111G60

次の文を読み、60〜62の問いに答えよ。

34歳の女性。腹痛、下痢および発熱を主訴に来院した。

現病歴:2日前に夫婦で焼き鳥と鳥刺しを食べた。昨日深夜に腹痛と悪寒とで目を覚まし、トイレに駆け込んだところ水様下痢であった。朝までに5、6回の水様下痢と1回の嘔吐があり、夫に連れられて受診した。夫は下腹部痛はあるが、下痢はない。

既往歴:4歳時に肺炎。

生活歴:会社員。33歳の夫との2人暮らし。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。

家族歴:父親が高血圧症。母親が糖尿病。

現 症:意識は清明。身長155cm、体重48kg。体温37.8℃。脈拍112/分、整。血圧102/68mmHg。呼吸数18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内と皮膚は乾燥している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、全体に軽度の圧痛を認めるが反跳痛はない。肝・脾を触知しない。皮疹を認めない。

検査所見:尿所見:比重1.031、蛋白(±)、糖(−)、ケトン体2+、潜血(−)。便所見:外観は淡黄色水様。血液の付着はない。血液所見:赤血球452万、Hb 13.1g/dL、Ht 40%、白血球10,300(好中球81%、好酸球2%、好塩基球0%、単球1%、リンパ球16%)、血小板32万。血液生化学所見:総蛋白8.0g/dL、アルブミン4.1g/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 10U/L、ALT 16U/L、LD 289U/L(基準176〜353)、ALP 215U/L(基準115〜359)、γ-GTP 14U/L(基準8〜50)、アミラーゼ55U/L(基準37〜160)、CK 50U/L(基準30〜140)、尿素窒素22mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、尿酸4.2mg/dL、血糖82mg/dL、Na 133mEq/L、K 3.0mEq/L、Cl 95mEq/L。CRP 4.5mg/dL。

脱水と判断し、直ちに生理食塩液の急速輸液を開始した。

脱水改善の指標となる所見はどれか。2つ選べ

CRP
体重
脈拍
尿比重
白血球数

解答: c,d

111G60の解説

焼き鳥と鳥刺しを食べた後の水様下痢。カンピロバクターによる食中毒が疑われる。
a CRPは肝で合成される蛋白であり、脱水とは直接の関係がない。
b 体重が脱水の重症度を反映するのは小児である(See 111G51)。成人はもともとの体重も大きく、かつ輸液により体重が増加したところで単にうっ血を呈しているだけかもしれないため、よい指標とはいえない。
c 正しい。循環血液量低下による頻脈は改善されやすい。
d 正しい。尿濃縮による尿比重高値は改善されやすい。
e 炎症による骨髄での産生亢進が原因であり、脱水とは直接の関係がない。

正答率:78%

テーマ:【長文1/3】急速輸液後の脱水改善の指標

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