111E57

68歳の女性。腹膜炎の手術後でICUに入院中である。3日前に消化管穿孔による急性汎発性腹膜炎で緊急手術が行われた。術後は気管挿管されたままICUに入室し、人工呼吸管理を受けている。本日から呼吸状態が悪化し、気管からピンク色泡沫状の分泌物が吸引された。心拍数86/分、整。血圧120/80mmHg。動脈血ガス分析(FIO2 0.7):pH 7.32、PaCO2 42Torr、PaO2 69Torr、HCO3- 23mEq/L。胸部エックス線写真を別に示す。心エコーで左室駆出率60%、左室壁運動に異常を認めない。有意な弁膜症を認めない。

診断はどれか。

肺炎
肺胞出血
心原性肺水腫
急性間質性肺炎
急性呼吸促迫症候群〈ARDS〉

解答: e

111E57の解説

手術後の肺水腫(「ピンク色泡沫状の分泌物」)。心エコー所見に異常なく、エックス線では肺の広範な浸潤影がみられている。P/F比≒98.6<100であり、重症の急性呼吸窮迫症候群〈ARDS〉と診断される。
a・d 「ピンク色泡沫状の分泌物」は肺水腫の所見であり、これらではみられない。
b ごく軽度の例では「ピンク色泡沫状の分泌物」をみることもあるが、通常は喀血となる。100%否定することはできないが、与えられた情報だけでは「診断」できない。
c 心エコー所見が正常であり、否定的。
e 正しい。上記の通り。

正答率:90%

テーマ:急性呼吸窮迫症候群〈急性呼吸促迫症候群〉〈ARDS〉の診断

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