111E46

45歳の男性。呼吸困難のため救急車で搬入された。自殺目的で台所にある洗浄剤(水酸化ナトリウム)を大量に内服したが、すぐに嘔吐した。その後、自宅近くの診療所を受診したが呼吸困難と喘鳴が出現したため搬送された。意識は清明。身長156cm、体重53kg。体温37.8℃。心拍数84/分、整。血圧124/70mmHg。呼吸数30/分。SpO2 96%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は発赤し口唇は腫脹している。咽頭から喉頭は浮腫状である。前胸部でstridorを聴取する。心音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音はやや亢進している。

まず行うべきなのはどれか。

胃洗浄
牛乳の飲用
気道の確保
中心静脈路の確保
副腎皮質ステロイド吸入

解答: c

111E46の解説

自殺目的の水酸化ナトリウム大量内服。自身で診療所を受診しているため、生存の意思を見て取れる。来院時のプロブレムは何だろうか。本文を読み進めていこう。「咽頭から喉頭が浮腫状」という記載がポイントとなる。呼吸数も30/分と上昇している。なにより、主訴が呼吸困難であることが正答への鍵となる。
a すぐに嘔吐しており、胃内にどれだけ水酸化ナトリウムが残存しているかは不明である。それよりも呼吸困難への対処が優先となる。
b 強アルカリ物質による中毒では食道や胃粘膜を保護すべく牛乳を飲ませることがある。が、aと同様、今すぐに行うべき対処ではない。
c 正しい。救急領域ABCの原則通り、まずは気道確保を行う。
d 中心静脈路の確保には時間がかかる。血圧も維持されており、今すぐに行うべきことではない。
e 気管支喘息等による気道狭窄では有効だが、水酸化ナトリウム大量内服に一般には行われない。

正答率:93%

テーマ:水酸化ナトリウム大量内服者への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック