111D59

46歳の女性。軽労作での呼吸困難を主訴に来院した。1年前から長時間歩行時の息切れを自覚していた。最近になって階段昇降や平地歩行でも息切れが出現するようになり、下肢の浮腫も自覚するようになったため受診した。身長155cm、体重80kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧130/60mmHg。呼吸数24/分。SpO2 90%(room air)。胸部の聴診でII音の亢進を認める。両下肢に著明な浮腫を認める。神経学的所見に異常を認めない。12誘導心電図(A)と心エコー図(B)とを別に示す。

この患者の病態の原因として考えられるのはどれか。3つ選べ。

膠原病
急性右室梗塞
僧帽弁閉鎖不全
特発性肺動脈性肺高血圧症
慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症

解答: a,d,e

111D59の解説

労作時呼吸困難を主訴に来院した46歳女性。1年前から徐々に進行し、来院時酸素化の低下と下腿浮腫を認めている。聴診でII音亢進を、心電図では右軸偏位と右室肥大を、心エコーでは拡張した右室と圧排された左室とを認め、肺高血圧症を考える。
a 正しい。比較的若い女性が肺高血圧症をきたす原因として考えたい疾患である。主に混合性結合組織病、強皮症、SLEでみられる。
b 1年前から徐々に進行してきた病歴から「急性」は考えられない。また、右室梗塞であれば肺の高血圧はきたさない。
c 僧房弁閉鎖不全では末期まで右心負荷はかからない。心電図や心エコーにて左心負荷所見を認めるはずである。
d 正しい。名前の通り原因不明の肺高血圧症である。男女比約1:2と女性に多く、未治療経過は非常に予後不良である。
e 正しい。慢性的に肺に微小血栓が飛ぶことでも肺高血圧症がみられる。

正答率:80%

テーマ:慢性経過をとる右心負荷の原因

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