111D49

24歳の男性。左片麻痺を主訴に来院した。10日前から全身倦怠感と微熱とを自覚していた。今朝9時に突然左手足が動きにくくなったため受診した。胸痛はなかった。22歳時に僧帽弁置換術を受けている。意識は清明。身長181cm、体重68kg。体温38.1℃。脈拍96/分、整。血圧152/92mmHg。顔面を含む左半身に不全麻痺を認める。胸骨左縁第3肋間を最強点とする拡張期雑音を聴取する。脊柱側弯と漏斗胸とを認める。血液生化学所見:AST 36U/L、ALT 40U/L、LD 182U/L(基準176〜353)、CK 68U/L(基準30〜140)。CRP 6.5mg/dL。

左片麻痺の原因として最も考えられるのはどれか。

脳塞栓症
脊髄梗塞
硬膜外血腫
くも膜下出血
アテローム血栓性脳梗塞

解答: a

111D49の解説

左片麻痺を主訴に来院した24歳男性。2年前に弁置換術を受けており、10日前から倦怠感と発熱を、来院時血液検査にてCRP上昇を認めていることから人工弁関連の感染性心内膜炎〈IE〉を考える。拡張期雑音を認めることも疣贅の存在を示唆する。左片麻痺は疣贅による脳塞栓であろう。脊柱側弯と漏斗胸、若年での僧房弁置換術の既往から基礎疾患としてMarfan症候群を疑う。
a 正しい。上記の通り。
b 脊髄梗塞であれば顔面麻痺を認めることが矛盾する。
c 硬膜外血腫であれば外傷歴を有し、意識障害を呈することが多い。
d くも膜下出血であれば突然の頭痛を来すことが多い。
e 確かに同様の症状がみられるが、動脈硬化のリスク(高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙、高齢など)はなく、「最も考えられる」ものではない。来院時の血圧が高いのはおそらく突然の症状により交感神経優位となっているからと考えられる。

正答率:93%

テーマ:感染性心内膜炎〈IE〉による脳塞栓症

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