111D42

77歳の男性。食欲不振と腎機能低下のため紹介されて来院した。2週間前から食欲不振が持続している。1か月前の血清クレアチニン値は1.7mg/dLであったが、3.0mg/dLへ上昇したため紹介されて受診した。15年前から高血圧症、脂質異常症および高尿酸血症のため内服治療中である。10年前、3年前および1か月前にそれぞれ冠動脈にステント留置術が行われた。身長166cm、体重68kg。体温36.0℃。脈拍64/分、整。血圧128/70mmHg。下腿に浮腫と把握痛とを認めない。足背動脈の触知は良好である。左第4、第5趾が暗紫色である。足関節上腕血圧比〈ABI〉の低下を認めない。尿所見:蛋白1+、糖(−)、潜血(−)。血液所見:赤血球321万、Hb 10.0g/dL、Ht 31%、白血球11,300(好中球70%、好酸球12%、好塩基球5%、リンパ球13%)、血小板24万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.2g/dL、AST 9U/L、ALT 19U/L、LD 175U/L(基準176〜353)、尿素窒素42mg/dL、クレアチニン3.2mg/dL、尿酸6.8mg/dL、HbA1c 6.2%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール162mg/dL、トリグリセリド150mg/dL、HDLコレステロール38mg/dL。左足の写真(A)及び腹部単純MRIの水平断像(B)と冠状断像(C)とを別に示す。

診断に最も有用な検査はどれか。

下肢血管造影
残尿量測定
骨髄生検
皮膚生検
FDG-PET

解答: d

111D42の解説

冠動脈ステント留置術が行われた後にみられた食欲不振と腎機能低下。Aでは第4, 5趾先の変色と周囲網状皮斑〈livedo〉がみられ、塞栓症を疑う。B, Cでは大動脈の粥状硬化病変がみられる。好酸球数が増加していることと合わせ、コレステロール塞栓症を考えたい。
a ABIの低下を認めておらず、足背動脈も触知は良好だ。検査前確率が低いため、下肢血管造影は行わない。
b 前立腺肥大症等、泌尿器科領域の病態を考えた際に実施する。
c 白血病など血液疾患を考えた際に実施する。
d 正しい。皮膚にコレステリン結晶を認めることが診断に有用。106D40で実際の画像が出題されているため、確認しておこう。
e 悪性腫瘍の転移を考えた際に実施する。

正答率:48%

テーマ:コレステロール塞栓の検査

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