111D32

6か月の乳児。呼吸不全のため来院した。生後5か月から咳嗽が出現しており、昨日から多呼吸も出現するようになったため救急外来を受診した。身長66.5cm、体重5.3kg。体温37.2℃。脈拍180/分、整。血圧88/52mmHg。呼吸数50/分。SpO2 86%(room air)。咽頭は発赤を認めないが、口腔粘膜に鵞口瘡を認める。心音に異常を認めない。両側の胸部にびまん性にfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球403万、Hb 10.4g/dL、Ht 31%、白血球2,300(好中球64%、好酸球1%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球27%)、血小板37万。血液生化学所見:総蛋白6.1g/dL、IgG 152mg/dL(基準440〜880)、IgA 5mg/dL(基準31〜77)、IgM 13mg/dL(基準19〜55)。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、β-D-グルカン26pg/mL(基準10以下)。人工呼吸管理を開始し、胃管と中心静脈カテーテルを挿入した。胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部CT(B)とを別に示す。

考えられる原因微生物はどれか。

カンジダ
リステリア
クラミジア
ニューモシスチス
サイトメガロウイルス

解答: d

111D32の解説

6か月児の呼吸不全。口腔内に鵞口瘡を認め、カンジダ感染を考える。画像では両側肺野に及ぶ浸潤影やスリガラス影がみられる。ニューモシスチス肺炎を考える。β-D-グルカンが上昇していることも真菌感染に矛盾しない。背景には原発性免疫不全症がありそうだ。
a・d 肺病変=ニューモシスチス、口腔内病変=カンジダである。困ったら主訴に戻ろう。本症例の主訴は呼吸不全なわけで、dを正解とすべきだ。設問文をせめて「肺病変の原因微生物として考えられるのはどれか。」にしてくれれば明快なのだが。
b・c・e β-D-グルカンは上昇しない。

正答率:44%

テーマ:原発性免疫不全症の児に発生した呼吸不全の原因微生物

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