111A27

38歳の女性。眼が見えにくいことを主訴に来院した。2年前から左眼の見えにくさを自覚し、3か月前から右眼も見えにくくなっている。3年前から無月経になっている。意識は清明。身長164cm、体重67kg。体温36.1℃。脈拍72/分、整。血圧132/76mmHg。呼吸数16/分。眼底は正常で、眼球運動に制限はなく、対光反射は正常である。血液所見に異常を認めない。血液生化学所見:TSH 1.3μU/mL(基準0.2〜4.0)、LH 2.4mIU/mL(基準1.8〜7.6)、ACTH 29.5pg/mL(基準60以下)、FSH 6.5mIU/mL(基準5.2〜14.4)、GH 0.1ng/mL(基準5以下)、プロラクチン34.8ng/mL(基準15以下)、FT4 0.9ng/dL(基準0.8〜2.2)、インスリン様成長因子-I〈IGF-I〉178ng/mL(基準155〜588)、コルチゾール11.2μg/dL(基準5.2〜12.6)。矯正視力は右0.1、左0.08。視野検査の結果(A)、頭部造影MRIの冠状断像(B)及び矢状断像(C)を別に示す。

適切な治療はどれか。

ガンマナイフ
視神経管開放術
オクトレオチド投与
ブロモクリプチン投与
経蝶形骨洞的腫瘍摘出術

解答: e

111A27の解説

両耳側半盲(A)を訴える女性。無月経もみられており、血中プロラクチンが高値であるためと考えられる。B, Cより下垂体部の腫瘍を同定可能。下垂体腫瘍により視交叉が圧迫され、両耳側半盲がみられているのであろう。下垂体性のプロラクチン高値を考えたい。
a 視交叉を圧迫している下垂体腫瘍には適応とならない。
b 視神経管の障害ではなく、視交叉の障害が問題となっているため無効。
c 先端巨大症の治療薬。GHやIGF-Iは高値になっていないため、適応とならない。
d 内科的治療としてブロモクリプチンは有用。しかしながら現在視機能障害が出現しており、早急な除圧が望ましい。そのため、eが優先される。
e 正しい。外科的治療がこの患者では優先される。
109B57の類題。
※本腫瘍が機能性か非機能性か、という議論もある。本症例ではPRL上昇が軽度であるため、本腫瘍はプロラクチノーマではなく、非機能性が考えやすい。非機能性腫瘍の圧迫により、視床下部からのPIFシグナルが下垂体へ到達せず、それによりPRLが軽度上昇していると考えられる。

正答率:77%

テーマ:プロラクチノーマの治療

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