110G53

生後3週の新生児。吐乳を主訴に母親に連れられて来院した。在胎39週、2,860gで出生した。5日前から嘔吐がみられ、次第に哺乳の度に嘔吐がみられるようになったため受診した。今朝からまだ排尿がない。現在の体重は2,920g。体温36.6℃。脈拍120/分、整。血圧90/62mmHg。皮膚のツルゴールは著明に低下しており、上腹部は軽度膨満している。血液所見:赤血球420万、白血球9,600、血小板24万。血液生化学所見:Na 131mEq/L、K 3.4mEq/L、Cl 86mEq/L。動脈血ガス分析(room air):pH 7.51、PaCO2 43Torr、PaO2 97Torr、HCO3 33mEq/L、BE〈base excess〉+7.6 mEq/L。上腹部の超音波像を別に示す。
この患児に最も適切な初期輸液の組成はどれか。
Na+(mEq/L) K+(mEq/L) Cl(mEq/L) Lactate(mEq/L) ブドウ糖(%)
130 4 109 28 0
90 0 70 20 2.6
77 0 77 0 2.5
35 20 35 20 4.3
0 0 0 0 5

解答: c

110G53の解説

画像にてdoughnut signがみられており、肥厚性幽門狭窄症を考える。反復する嘔吐により胃酸(HCl)を失い、低Cl血症かつ動脈血ガス分析では代謝性アルカローシスとなっている。輸液内にはClは含めよう。今朝から排尿がないため、輸液製剤中にKは含めたくない。また、この状況下で輸液に乳酸〈Lactate〉を含めてしまうとアルカローシスを増悪させる可能性が高い。
a・d KとLactateとが含まれており、適切とはいえない。
b Lactateが含まれており、適切とはいえない。
c 正しい。条件をみたす組成といえる。
e KもLactateも含まれていないが、5%ブドウ糖液は低張液であり、多くは細胞内へ移動してしまう。脱水時に利用されるものではない。また、Clも含んでいない。

正答率:50%

テーマ:肥厚性幽門狭窄症・輸液組成

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