110D52

55歳の男性。心窩部痛を主訴に来院した。生来健康であったが、3日前、飲酒後に心窩部痛があった。一旦軽快したが、昨夜、飲酒後に再び心窩部痛と背部痛が出現し、増悪したため受診した。意識は清明。身長165cm、体重58kg。体温37.2℃。脈拍96/分、整。血圧146/96mmHg。呼吸数20/分。心窩部に圧痛を認めるが反跳痛や筋性防御を認めない。腸蠕動は消失している。血液所見:赤血球520万、Hb 14.2g/dL、Ht 45%、白血球12,800、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン4.5g/dL、総ビリルビン1.1mg/dL、直接ビリルビン0.6mg/dL、ALT 60U/L、LD 240U/L(基準176〜353)、アミラーゼ1,504U/L(基準37〜160)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、Na 135mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 1.5mg/dL。腹部造影CTを別に示す。
鎮痛薬投与に続いて行うべき治療はどれか。
膵切除術
腹膜灌流
大量輸液
血液浄化療法
内視鏡的胆管ドレナージ

解答: c

110D52の解説

飲酒後の心窩部痛と背部痛であり、画像にて膵周囲に液体貯留があり、膵実質の肥厚もみられていることから急性膵炎が考えられる。
a 膵癌の治療である。
b 腹膜透析等の総称。一般に急性膵炎では行われない。
c 正しい。炎症に伴い循環血漿量の低下を来すため急性膵炎では健常成人の2~4倍量の水分が必要となる。現在血圧は保たれているが、今後急速に循環血液量減少性ショックを呈する可能性があるため大量輸液を行うことは有効である。
d カリウム、尿素窒素、クレアチニンの高度上昇はみられず、強い代謝性アシドーシスを呈している記載もみてとれない。現時点で血液透析等の血液浄化を行う必要性は低いだろう。
e 急性膵炎に内視鏡的胆管ドレナージは禁忌。

正答率:81%

テーマ:急性膵炎の治療

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