110D40

68歳の男性。労作時の前胸部圧迫感を主訴に来院した。半年前から早足で歩くときなどに前胸部圧迫感を自覚していた。症状は咽頭部から顎にかけての詰まる感じを伴うが、安静により3分程度で良くなるので医療機関は受診していなかった。3週前から軽労作でも症状が生じるようになり、生活が制限されるようになってきた。今朝8時には、朝食後に症状が出現し10分程度続いた。同時に一過性の眼前暗黒感も生じたため受診した。意識は清明。身長168cm、体重68kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧150/88mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。胸部の聴診でII音の奇異性分裂、III音およびIV音を認め、胸骨右縁第2肋間を最強点とするIV/VIの収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部に異常を認めない。血液所見:赤血球443万、Hb 14.4g/dL、Ht 41%、白血球4,800、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン1.2mg/dL、AST 56U/L、ALT 48U/L、LD 222U/L(基準176〜353)、ALP 356U/L(基準115〜359)、γ-GTP 50U/L(基準8〜50)、アミラーゼ118U/L(基準37〜160)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL。Na 138mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 0.3mg/dL。胸部エックス線写真で左第1弓の軽度の突出を認める。心電図は心拍数78/分の洞調律で左室高電位の所見を認める。呼吸機能検査で異常を認めない。
次に行うべき検査はどれか。
心エコー
胸部造影CT
Holter心電図
運動負荷心電図
心臓カテーテル検査

解答: a

110D40の解説

II音の奇異性分裂、胸骨右縁第2肋間での収縮期駆出性雑音、などから大動脈弁狭窄症〈AS〉の診断に至る。ASにより冠血流が低下し、前胸部圧迫感がみられているわけであって、虚血性心疾患と誤診してはならない。
a 正しい。心エコーで狭窄を描出したい。
b 弁膜症をCTでみるのは困難。
c 不整脈や虚血性心疾患の検査。
d 労作性狭心症の検査。
e 虚血性心疾患の検査。ASでも手術適応となった場合には術前検査として行うがまだ診断がついていないのでaが正解となる。

正答率:91%

テーマ:大動脈弁狭窄症〈AS〉の検査

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