110D27

25歳の男性。陰嚢腫大を主訴に来院した。6か月前から陰嚢内に硬結を自覚していたが痛みがないため医療機関を受診していなかった。1か月前から陰嚢内の硬結が腫大してきたため受診した。右精巣は鶏卵大に腫大し圧痛は認めない。陰嚢部超音波検査で右精巣は内部不均一である。胸腹部造影CTで明らかな異常所見を認めない。血液生化学所見:LD 224U/L(基準176〜353)、hCG 0.3mIU/mL(基準0.7以下)、α-フェトプロテイン〈AFP〉8ng/mL(基準20以下)。右精巣腫瘍と診断し右高位精巣摘除術を施行した。摘出した精巣の病理標本(A)とH-E染色標本(B)とを別に示す。今後の治療方針として無治療経過観察を選択した。
経過観察中に転移再発が生じやすい部位はどれか。
骨盤リンパ節と脳
後腹膜リンパ節と脳
後腹膜リンパ節と肺
鼠径部リンパ節と肺
鼠径部リンパ節と骨

解答: c

110D27の解説

本文中の記載や画像Aより精巣腫瘍であるが、LD、hCG、AFPいずれも上昇がないため、セミノーマが考えやすい。画像Bでもtwo-cell pattern(大型の腫瘍細胞と小型のリンパ球とが混在している所見)がみられ、それに矛盾しない。
a〜e 精巣由来の血流とリンパ流がどこへ向かうか、を問うた実質的な解剖学の問題である。血流は下大静脈へ戻るため、そこから肺へと転移しやすい。また、リンパ流は後腹膜リンパ節へと向かうため、同部位に転移巣を作りやすい。以上より、cが正しい。精巣から位置的に近いからといってdを選んでしまった者は要反省である。

正答率:35%

テーマ:セミノーマ・転移再発が生じやすい部位

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