110C26

次の文を読み、26、27の問いに答えよ。
78歳の女性。食欲不振と軽度の全身倦怠感とを主訴に紹介されて来院した。
現病歴:4週前に自宅で転倒して尻もちをつき腰痛が出現したため自宅近くの診療所を受診した。腰椎エックス線写真で第1腰椎の圧迫骨折を認め、腰椎骨塩定量検査で骨密度が著明に低下しており、骨粗鬆症と診断された。非ステロイド性抗炎症薬、ビスホスホネート製剤、カルシウム製剤および活性型ビタミンD製剤による治療が開始された。2週後の再診時には腰痛は軽減し、非ステロイド性抗炎症薬は終了となったが、他の薬剤はその後も投与が継続されていた。1週前から食欲不振と軽度の全身倦怠感とを自覚し持続するため紹介されて受診した。尿検査と血液検査の結果を持参している。
既往歴:70歳時に胆石で胆嚢摘出術。75歳時に大腸憩室炎。
生活歴:娘夫婦と孫2人との5人暮らし。腰痛が軽減した後は日課にしていた朝30分の散歩を再開している。
検査所見(持参したもの):尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球468万、Hb 14.6g/dL、Ht 42%、白血球4,600、血小板36万。血液生化学所見:総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.6g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、直接ビリルビン0.4mg/dL、AST 24U/L、ALT 10U/L、LD 226U/L(基準176〜353)、尿素窒素32mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、尿酸8.6mg/dL、血糖120mg/dL、Na 146mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 0.3mg/dL未満。
現症:意識レベルはJCSI-2。身長150cm、体重45kg。体温36.0℃。脈拍84/分、整。血圧132/92mmHg。呼吸数16/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺腫と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢の筋力に異常を認めない。
この患者にみられる可能性が高いのはどれか。
下痢
耳鳴
視力低下
皮膚掻痒
多飲・多尿

解答: e

110C26の解説

78歳女性で血清クレアチニン値が1.1mg/dLであるため、eGFRは37と算出される。これは慢性腎臓病ステージG3bに該当する。そのため、服用を続けていたカルシウム製剤、活性化ビタミンD製剤の血中濃度が上昇し、高カルシウム血症を呈したのであろう。これによる食欲不振と全身倦怠感が考えやすい。
a 便秘傾向となる。
b〜d これらの症候は血中カルシウム値の異常では認めない。
e 正しい。高カルシウム血症、低カリウム血症にて腎性尿崩症を呈する。

正答率:85%

テーマ:【長文1/2】高カルシウム血症の症候

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