110A52

25歳の男性。下腿の浮腫を主訴に来院した。2か月前に下腿に靴下のゴムの痕が付くことに気付いた。徐々にその程度が強くなってきたため受診した。身長170cm、体重65kg。体温36.0℃。脈拍72/分、整。血圧140/86mmHg。顔面と下腿とに浮腫を認める。尿所見:蛋白3+、潜血1+、沈渣に赤血球5〜10/1視野、顆粒円柱1個/数視野、卵円形脂肪体1〜4/1視野、尿蛋白4.8g/日。血液生化学所見:総蛋白4.5g/dL、アルブミン1.8g/dL、IgG 547mg/dL(基準960〜1,960)、IgA 250mg/dL(基準110〜410)、IgM 67mg/dL(基準65〜350)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、トリグリセリド240mg/dL、LDLコレステロール220mg/dL。ASO 180単位(基準250以下)。腎生検のPAS染色標本を別に示す。
この患者で正しいのはどれか。
腎機能の予後は悪い。
補体の低下を認める。
尿蛋白の選択性は高い。
悪性腫瘍を合併しやすい。
A群β溶連菌感染後に発症する。

解答: a

110A52の解説

若年男性のネフローゼ症候群(蛋白3+、アルブミン1.8g/dL)。微小変化群型〈MC〉ネフローゼ症候群と巣状分節性糸球体硬化症〈FSGS〉を鑑別に挙げる。画像にて分節性の硬化所見があることからFSGSの診断である。
a 正しい。蛋白選択性は低く、ステロイド反応性も低い。
b 補体低値となるのは溶連菌感染後急性糸球体腎炎〈PSAGN〉、膜性増殖性糸球体腎炎〈MPGN〉、ループス腎炎などである。
c 尿蛋白選択性は低い。
d 悪性腫瘍を合併しやすいのは膜性腎症〈MN〉。
e PSAGNについての記載。

正答率:39%

テーマ:巣状分節性糸球体硬化症〈FSGS〉について

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