110A46

3歳の男児。顔色不良を主訴に来院した。2日前に38℃台の発熱があったが1日で解熱した。昨日の夕方からぐずることが多くなった。今朝になり顔色不良に気付かれ受診した。保育園で伝染性紅斑が流行しているとのことであった。意識は清明。体温37.8℃。脈拍148/分、整。血圧94/56mmHg。皮膚は蒼白。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に軽度黄染を認める。口腔内粘膜は蒼白である。咽頭に発赤を認めない。頸部リンパ節を触知しない。胸部の聴診で胸骨左縁にII/VIの収縮期雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝を触知しない。 脾を左肋骨弓下に3cm触知する。血液所見:赤血球120万、Hb 3.6g/dL、Ht 12%、網赤血球0%、白血球3,800、血小板18万、PT 72%(基準80〜120)。血液生化学所見:総蛋白6.4g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン3.9mg/dL、直接ビリルビン 0.8mg/dL、AST 29U/L、ALT 14U/L、LD 432U/L(基準176〜353)、尿酸4.2mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.3mg/dL、直接Coombs試験陰性。胸部エックス線写真で明らかな浸潤影はなく、心胸郭比52%である。
考えられる疾患はどれか。
鉄欠乏性貧血
再生不良性貧血
遺伝性球状赤血球症
発作性夜間血色素尿症
自己免疫性溶血性貧血

解答: c

110A46の解説

伝染性紅斑(パルボウイルスB19感染)が保育園で流行しており、これによる貧血を考える。網赤血球が0%であり、造血が全く行われていないことが分かる。急性赤芽球癆の診断。
a 鉄欠乏性貧血では溶血所見をみない。また血小板数が上昇傾向となる。
b・d これらでは汎血球減少をみる。
c 正しい。選択肢に急性赤芽球癆がないため、急性赤芽球癆の原因となりやすい疾患はどれか、と問うているのであろう。
e 自己免疫性溶血性貧血〈AIHA〉ではCoombs試験が陽性となる。

正答率:80%

テーマ:遺伝性球状赤血球症〈HS〉の診断

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