110A32

38歳の女性。頭痛、微熱、吐き気および羞明を主訴に来院した。3日前から頭痛と微熱があり、今朝から吐き気も出現して食事がとれなくなったため受診した。来院時、羞明を訴える。意識は清明。体温38.4℃。脈拍92/分、整。血圧142/82 mmHg。脳神経と運動系とに異常を認めない。腱反射は正常でBabinski徴候は認めない。Kernig徴候を認める。血液所見:赤血球410万、Hb 13.0g/dL、Ht 39%、白血球8,600、血小板21万。血液生化学所見に異常を認めない。脳脊髄液所見:初圧180mmH2O(基準70〜170)、水様透明、細胞数230/mm3(基準0〜2)(単核球55%、多形核球45%)、蛋白82mg/dL(基準15〜45)、糖68mg/dL(同時血糖86mg/dL)、トリプトファン反応陰性、Gram染色で細菌を認めない。頭部MRIで異常を認めない。照明を落とした個室への入院となった。
入院後の対応として適切なのはどれか。
補液のみ
アシクロビル内服
アムホテリシンB点滴
副腎皮質ステロイド筋注
第3世代セフェム系抗菌薬点滴

解答: a

110A32の解説

Kernig徴候を認めており、髄液中の糖が基準値内であることからウイルス性髄膜炎を考える(本問では糖の基準値を提示してくれていないが、110回では同一冊子内に記載されていた110A22に「基準50〜75」と明記してあった)。
a 正しい。ウイルス性髄膜炎に特異的な治療法は存在しない。補液のみでの対応とする。
b ヘルペス脳炎の治療である。本患者では頭部MRIに異常を認めておらず、否定的。
c 真菌感染の治療である。
d 細菌性髄膜炎にて抗菌薬と併用して静注することはある。
e 細菌感染の治療である。

正答率:19%

テーマ:無菌性髄膜炎の対応

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