110A21

65歳の女性。健忘を主訴に家族に連れられて来院した。3か月前から家に引きこもりがちになり、倦怠感と不安とを訴えて外出しようとしなくなった。2週前からぼんやりして物忘れが目立つようになり、動作も緩慢になった。昨夜、誰もいないのに誰かを激しく叱っているところを家族が目撃した。意識レベルはJCS I-1。活動性の低下を認める。身長154cm、体重67kg。体温35.4℃。脈拍52/分、整。血圧94/48mmHg。呼吸数12/分。顔面と両側の下腿とに浮腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは18点(30点満点)、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉は20点(30点満点)である。四肢の近位部に徒手筋力テストで4の筋力低下を認め、大腿四頭筋を叩打すると筋腹の膨隆が生じる。腱反射は打腱後の筋弛緩遅延を認め、Babinski徴候は陰性である。
原因として最も考えられるのはどれか。
甲状腺機能低下症
前頭側頭型認知症
ビタミンB12欠乏症
進行性多巣性白質脳症
筋強直性ジストロフィー

解答: a

110A21の解説

活動性の低下、精神機能異常、肥満(BMI 28.3)、低体温、低血圧、筋力低下、大腿四頭筋叩打にて筋腹の膨隆(mounding現象と呼ばれる)、腱反射の筋弛緩遅延、といったキーワードから甲状腺機能低下症が考えられる。
a 正しい。上記の通り。
b〜e これら疾患では神経の異常はみられても、肥満や低体温や低血圧はきたしにくい。

正答率:80%

テーマ:甲状腺機能低下症でみられた認知機能低下

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし