110H27

70歳の男性。開胸手術中である。全身麻酔下に従量式の人工呼吸管理をしている。喫煙歴は30本/日を30年間。身長160cm、体重60kg。体温36.5℃。換気回数10/分、心拍数80/分、整。血圧120/80mmHg。吸入酸素濃度50%でのSpO2 が94%に低下してきた。尿量50mL/時。吸気性および呼気性のcoarse cracklesを聴取する。手術開始時および現在の気道内圧曲線を別に示す。
まず行うべき処置はどれか。
気管内吸引
胸部エックス線撮影
利尿薬の静脈内投与
気管支拡張薬の吸入
換気法を従量式から従圧式に変更

解答: a

110H27の解説

気道内圧曲線が読めるかどうか、が勝負の分かれ目。「こんなの過去問でみたこと無いから分からない!」というのでは良くない。与えられたグラフを自分なりに理解して、判読できるよう日頃からトレーニングしておこう。
手術開始時と比べ、現在は気道内圧が上昇している。従量式の人工呼吸であるため、同じだけ送気をしているにもかかわらず、空気が送りにくくなっていることを意味する。開胸手術でみられやすい合併症の1つである喀痰や気道内分泌物による気道閉塞、そしてそこからの無気肺を考えたい。
a 正しい。喀痰や気道内分泌物を吸引することが第一の処置となる。
b 胸部エックス線撮影で無気肺は描出できるかもしれないが、治療にはつながらない。
c 不要な処置である。
d 病態改善に働く可能性が高い処置ではあるも、喀痰や気道内分泌物が気道内に詰まってしまっている現状を根本的に解決する処置ではない。
e 気道内圧は一定に保たれるかもしれないが、手術開始時の圧で送気を継続した場合、送気量が減少してしまうため好ましくない。

正答率:67%

テーマ:全身麻酔中にSpO2が低下してきた際にまず行うべき処置

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