110D43

72歳の女性。咳嗽を主訴に来院した。1か月前から咳嗽が出現し、自宅近くの診療所で投薬を受けたが改善しないため受診した。喫煙は20本/日を50年間。身長150cm、体重50kg。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧104/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 94%(room air)。呼吸音は右側でやや減弱している。血液所見:赤血球422万、白血球8,800、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン1.1mg/dL、AST 28U/L、ALT 16U/L、ALP 320U/L(基準115〜359)、γ-GTP 23U/L(基準8〜50)。来院時の胸部エックス線写真(A)、胸部造影CT(B、C)及び気管支鏡下に行った穿刺細胞診(D)を別に示す。PET/CTでは胸腔内以外に異常を認めない。
適切な治療はどれか。
腫瘍切除術
抗癌化学療法
抗結核薬投与
抗凝固薬投与
化学放射線療法

解答: bまたはe

110D43の解説

A, Bにて右上葉(S3)に腫瘍がみられる。Dより小細胞癌と考えられる。Cでは縦隔リンパ節転移がみられるも、それ以上の拡大は指摘できない。右胸水を認めており、これが非悪性であればLimited Disease〈LD〉、悪性であればExtensive Disease〈ED〉と診断される。
a 小細胞癌ではI期にて腫瘍切除が可能なことがある。本症例は縦隔リンパ節転移があり、I期ではない。
b Extensive Diseaseであれば正しい。
c 結核感染に用いる。
d 血栓症に用いる。
e Limited Diseaseであれば正しい。
※胸水の存在により、LDまたはEDの判別ができない。このため採点除外問題となった(正答も公表されていない)。

正答率:95%

テーマ:肺小細胞癌の治療

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