109I62

56歳の女性。全身倦怠感を主訴に来院した。2週前から全身倦怠感を自覚し徐々に食欲も低下したため受診した。体温37.3℃。脈拍72/分、整。血圧118/74mmHg。呼吸数12/分。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。血液所見:赤血球411万、Hb 13.2g/dL、Ht 39%、白血球12,200(桿状核好中球29%、分葉核好中球42%、好酸球1%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球20%)、血小板24万、PT 72%(基準80〜120)。血液生化学所見:総蛋白7.1g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン5.7mg/dL、直接ビリルビン4.8mg/dL、AST 303U/L、ALT 211U/L、LD 597U/L(基準176〜353)、ALP 683U/L(基準115〜359)、γ-GTP 432U/L(基準8〜50)、アミラーゼ 96U/L(基準37〜160)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖99mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 2.0mg/dL。
次に行うべき検査はどれか。
肝生検
腹部造影CT
腹部造影MRI
腹部超音波検査
内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉

解答: d

109I62の解説

黄疸もあり、一読して肝胆系のトラブルであることは分かる。では具体的に肝臓なのか、胆道なのか、という分岐が重要だが、AST・ALTの上昇に比べ、ALPとγ-GTPの上昇のほうが高度であるため、胆道の疾患を疑うべきである。ビリルビンをみるに、間接ビリルビンより直接ビリルビンの方が高値であるから、胆道閉塞が考えやすい。56歳の女性で白血球が上昇していることから、胆石症であろう。とはいえ、まだ確定には至らないため(胆道の悪性腫瘍かもしれない)、現時点では侵襲の低い検査から行い診断を確実にしたい。
a 上記のように肝疾患より胆道疾患が考えやすい。
b・c・e 侵襲や簡便さの観点から造影CT/MRIやERCPよりも、腹部超音波検査を優先させるべき。
d 正しい。腹部超音波にて胆道の拡張や結石・腫瘍性病変の有無を検索する。

正答率:88%

テーマ:黄疸の原因検索

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