109I57

58歳の男性。発熱、皮疹および関節痛を主訴に来院した。14日前に急性腰痛症のため自宅近くの診療所で非ステロイド性抗炎症薬を処方され服用していた。2日前から発熱、皮疹および関節痛が出現し増悪してきたため受診した。既往歴に特記すべきことはない。体温37.3℃、脈拍84/分、整。血圧138/86mmHg。全身に紅斑性丘疹を播種状に認める。両側の肩関節、肘関節および膝関節に疼痛と腫脹とを認める。尿所見:蛋白(±)、糖(−)、潜血(±)、沈渣に赤血球1〜4/1視野、白血球5〜9/1視野。β2-マイクログロブリン54,630μg/L(基準200以下)。血液所見:赤血球350万、Hb 10.8g/dL、Ht 32%、白血球9,600(分葉核好中球49%、好酸球24%、好塩基球1%、単球1%、リンパ球25%)、血小板34万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.8g/dL、IgG 1,410mg/dL(基準960〜1,960)、IgA 200mg/dL(基準110〜410)、IgE 320IU/mL(基準250未満)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン1.6mg/dL、HbA1c 5.4%(基準4.6〜6.2)。腎生検のPAS染色標本を別に示す。蛍光抗体法では糸球体に免疫グロブリンの沈着を認めない。
診断はどれか。
悪性腎硬化症
急性間質性腎炎
紫斑病性腎炎
糖尿病腎症
膜性腎症

解答: b

109I57の解説

非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉使用後の尿細管障害(尿中β2ミクログロブリン高値)と間質への細胞浸潤(画像)より、間質性腎炎の診断。好酸球が24%と上昇しているのもポイントである。106A43とほぼ同パターンの問題。
a 悪性腎硬化症では拡張期血圧が130mmHgを超える。
b 正しい。上記の通り。
c 紫斑病性腎炎ではIgA腎症様の糸球体像をみる。現在、糸球体に免疫グロブリンの沈着はないとのことで否定される。
d HbA1cは基準値内にあり、否定的。
e 膜性腎症では糸球体基底膜にそったIgG沈着をみる。現在、糸球体に免疫グロブリンの沈着はないとのことで否定される。

正答率:91%

テーマ:急性間質性腎炎の診断

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