109G54

63歳の男性。頭痛と複視とを主訴に来院した。半年前に下腿浮腫、筋力低下、倦怠感および皮膚乾燥があり自宅近くの診療所を受診した。TSH 3.7μU/mL(基準0.4〜4.0)、FT4 0.3ng/dL(基準0.8〜1.8)の検査結果から甲状腺ホルモン補充療法(レボチロキシン50μg/日)が開始された。2か月前から食欲が低下し体重も減少してきていた。今朝、突然に右前額部痛、嘔吐および複視が出現したため救急外来を受診した。意識は清明。身長169cm、体重69kg(2か月前は75kg)。体温36.8℃。脈拍80/分、整。血圧154/92mmHg。右眼瞼下垂と右眼球外転偏位とを認める。四肢麻痺はない。頭部単純MRIのT1強調像の矢状断像(A)と冠状断像(B)を別に示す。
基礎疾患として最も考えられるのはどれか。
髄膜腫
動静脈奇形
下垂体腫瘍
内頸動脈瘤
原発性甲状腺機能低下症

解答: c

109G54の解説

高齢男性の頭痛と複視。画像Aにて下垂体部に不均一な腫瘤性病変がみられる。半年前から甲状腺機能低下症様症状を呈しており、下垂体腫瘍による圧迫が考えやすい。問題となるのは今朝突然発症したエピソードであろう。画像Bにて腫瘤の右側方への進展がみられる。下垂体腫瘍の破裂と診断される。
a 下垂体近傍発生の髄膜腫の可能性はゼロとは言い切れないが、画像上、髄膜から発生しているとみなす所見(dural tail signなど)がみられない。
b・d・e 半年前からのエピソードが説明できない。
c 正しい。上記の通り。

正答率:94%

テーマ:下垂体腫瘍に発生した下垂体卒中の診断

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