109E58

58歳の男性。右上肢麻痺を主訴に来院した。3か月前から右上肢の疼痛としびれがあり、複数の医療機関を受診したが診断に至らなかった。1か月前から右上肢麻痺が現れ次第に悪化したため自宅近くの診療所を受診し、胸部エックス線写真で異常陰影を指摘されたため紹介されて受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は30本/日を37年間。意識は清明。身長165cm、体重62kg。体温36.6℃。脈拍72/分、整。血圧130/102mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98%(room air)。持参した胸部エックス線写真(A)と胸部造影CT(B、C)とを別に示す。
この患者の身体所見として考えられるのはどれか。3つ選べ
右上肢内側感覚低下
顔面浮腫
嚥下障害
発汗異常
鷲手

解答: a,d,e

109E58の解説

画像A, Bにて右肺尖部に腫瘍あり。特に画像Bでは腕神経叢部分にまで腫瘍が及んでいることが読み取れる。これによる右上肢麻痺の主訴であり、Pancoast症候群と診断される。
a 正しい。腕神経叢障害でみられる。
b 顔面浮腫は上大静脈症候群でみるが、画像Cにて上大静脈は開存しており、否定的。
c 嚥下障害は食道浸潤でみるが、画像Cにて食道は開存しており、否定的。
d 正しい。Pancoast症候群では頸部交感神経幹が障害され、Horner症候群をみる。Horner症候群では病側の顔面発汗低下をみる。
e 正しい。腕神経叢の内側神経束から尺骨神経が分岐する。ゆえに尺骨神経麻痺により鷲手をみる。

正答率:54%

テーマ:Pancoast症候群の身体所見

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