109D58

50歳の女性。職場の健康診断で血尿を指摘され来院した。9年前に顕微鏡的多発血管炎と診断され、プレドニゾロンとシクロホスファミドとを2年間内服した。顕微鏡的多発血管炎は寛解し、この7年間はプレドニゾロンとシクロホスファミドとを服用していない。頻尿、排尿時痛および残尿感はない。尿所見:蛋白(±)、潜血3+、沈渣に赤血球30〜50/1視野、赤血球円柱と白血球とを認めない。
まず施行すべき検査はどれか。2つ選べ
尿培養
尿細胞診
血清IgA測定
膀胱内視鏡検査
尿中β2-マイクログロブリン測定

解答: b,d

109D58の解説

難問。顕微鏡的多発血管炎〈MPA〉寛解から7年が経過しており、現在赤血球円柱や白血球もみられていないことから、MPAの再発ではない、と見切りをつけられたかどうかが勝負の分かれ目。糸球体疾患に拘泥してしまうと、cやeを選んでしまう。50歳女性の血尿では、尿路の悪性腫瘍を疑いたい。実はシクロホスファミドには発癌性が知られており、そのための既往歴だと思われる。この事実を知っていた受験生は多くないと思われ、難しい。
a 尿路感染を疑った場合に行う。
b 正しい。悪性腫瘍を考えた場合、細胞診が有効。
c IgA腎症など腎炎を考えた場合に行う。
d 正しい。膀胱癌を考えた場合、膀胱内視鏡検査が有効。
e 尿中β2-マイクログロブリンは近位尿細管障害の指標として用いられる。間質性腎炎にて測定する、という出題が過去問では多い(109I57, 106A43など)。

正答率:61%

テーマ:膀胱癌の検査

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