109D55

7歳の男児。腹痛、下痢および顔色不良を主訴に母親に連れられて来院した。4日前から下痢が始まり、昨晩から腹痛を伴う血便が認められた。今朝から排尿がないのに気付かれ受診した。7日前に家族で焼肉を食べに行った。母親、父親および兄も軽い下痢を呈している。意識は清明。身長115cm、体重22kg(1週前は20.5kg)。体温37.1℃。脈拍124/分、整。血圧130/76mmHg。呼吸数24/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、自発痛と圧痛とを認めるが、筋性防御は認めない。肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白2+、ケトン体1+、潜血3+。
この患児の血液検査所見で予測されるのはどれか。2つ選べ
LD高値
血小板数増加
クレアチニン高値
直接ビリルビン高値
血清補体価(CH50)低値

解答: a,c

109D55の解説

家族全員に症状があり、食中毒が考えられる。焼肉を食べて血便、のパターンではカンピロバクターや病原性大腸菌の感染を疑う。本患者では腎障害もみられているため、腸管出血性大腸菌の感染が考えられる。腸管出血性大腸菌の感染では溶血性尿毒症症候群〈HUS〉を合併する。
a 正しい。溶血により、LDは上昇する。
b 血栓を形成し、血小板は低下する。
c 正しい。腎障害により、クレアチニンは上昇する。
d 溶血により、直接ではなく間接ビリルビンが上昇する。
e 補体低値となる腎疾患は急性糸球体腎炎や膜性増殖性腎炎〈MPGN〉などである。

正答率:75%

テーマ:溶血性尿毒症症候群〈HUS〉の検査所見

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