109D40

50歳の男性。倦怠感を主訴に来院した。3か月前から倦怠感と息切れとが出現し徐々に増悪したため受診した。体温36.4℃。脈拍80/分、整。血圧132/78mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球285万、Hb 8.6g/dL、Ht 26%、白血球8,400(桿状核好中球10%、分葉核好中球45%、好酸球2%、単球6%、リンパ球37%)、血小板24万。血液生化学所見:総蛋白15.5g/dL、アルブミン3.2g/dL、IgG 9,133mg/dL(基準960〜1,960)、IgA 22mg/dL(基準110〜410)、IgM 28mg/dL(基準65〜350)、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 22U/L、ALT 25U/L、LD 251U/L(基準176〜353)、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、Ca 11.8mg/dL。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(A)と頭蓋骨エックス線写真(B)とを別に示す。
最も適切な対応はどれか。
経過観察
抗CD20抗体投与
抗ウイルス薬投与
免疫グロブリン製剤投与
プロテアソーム阻害薬投与

解答: e

109D40の解説

腰痛のような典型的症状はないが、貧血とそれによる倦怠感・息切れ、IgG単独の高値と他免疫グロブリンの抑制、総蛋白が高値にもかかわらずアルブミンが低値というギャップ、高Ca血症、といった記載からとある疾患を思い浮かべることは容易。画像Aでは形質細胞の増加を、画像Bではpunched out lesionを認めており、多発性骨髄腫〈MM〉の診断となる。
a 症状が出現しており、経過観察は不可。
b B細胞性のリンパ腫に適応となる。
c ウイルス感染ではない。
d 血液疾患では免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉に適応となる。
e 正しい。プロテアソーム阻害薬(形質細胞に含まれる酵素であるプロテアソームを阻害する分子標的薬)が有効。

正答率:74%

テーマ:多発性骨髄腫〈MM〉への対応

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