109C17

25歳の男性。臨床研修医。患者の採血を行った後、採血管に分注しようとして誤って自分の指に針を刺した。患者は鼠径ヘルニアの手術目的で入院した59歳の男性で、7日前に施行した術前検査ではB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス及びHIVの感染は指摘されていない。直ちに汚染部位を絞り出し、流水で洗浄を行った。
この研修医に対して洗浄の後に行う対応として適切なのはどれか。
検査や処置を行わず経過を観察する。
HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体および抗HIV抗体の血液検査を行う。
抗HIV薬を投与する。
HBワクチンを接種する。
HBs抗体含有免疫グロブリン製剤を投与する。

解答: b

109C17の解説

研修医の針刺し事故。7日前の検査で患者の感染症は陰性とでているため、aと回答してしまいそうだ。だが、7日前に検査を行った際はwindow periodであり、実はHBV, HCV, HIVをこの患者がもっている、という可能性も完全には否定できない。今後しばらくしてこの研修医に感染していた、と判明する可能性もごくごくわずかだがありうる。ゆえに万全を来すためにはこの研修医の現時点でのこれら感染症の抗体所持状況を確認していくこととなる。現時点で抗体が陰性で、数か月後に陽性となっていたら、この際の針刺しが原因だったと証明できるためである(労災認定に必要)。
a 上記のように、この対応では不十分である。
b 正しい。上記の通り。
c~e 7日前の検査ではあるが、患者に感染症は指摘されておらず、こうした対応は適応とならない。

正答率:86%

テーマ:針刺し事故後の対応

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