109B50

次の文を読み、50~52の問いに答えよ。
43歳の男性。発熱を主訴に来院した。
現病歴:半年前から全身倦怠感を自覚していた。1か月前から37℃前半の微熱と乾性咳嗽とが出現した。2週前に自宅近くの診療所を受診し総合感冒薬を処方されたが改善しなかった。そのころから体温は38℃を超えるようになり、1週前から階段昇降時に呼吸困難を自覚するようになった。精査のため診療所から紹介されて受診した。
既往歴:22歳時にB型急性肝炎。35歳時に帯状疱疹。
生活歴:会社員。独身。一人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親がうつ病で通院治療中。
現症:意識は清明。身長173cm、体重58kg(半年前は68kg)。体温38.6℃。脈拍96/分、整。血圧104/58mmHg。呼吸数20/分。SpO2 94%(room air)。前額と鼻唇溝とに黄白色の鱗屑を伴う紅斑を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内に多発する白苔を認める。頸静脈の怒張を認めない。径1~2cmのリンパ節を右頸部に7個、左頸部に5個触知する。心音に異常を認めない。両側の胸部にfine cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音は正常である。下腿に浮腫を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球454万、Hb 15.1g/dL、Ht 42%、白血球3,100、血小板12万。血液生化学所見:総ビリルビン0.9mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.6mg/dL、β-D-グルカン486pg/mL(基準10以下)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.47、PaCO2 34Torr、PaO2 76Torr、HCO3 24mEq/L。胸部エックス線写真(A)と胸部CT(B)とを別に示す。 この患者の白血球分画で割合が減少しているのはどれか。
単球
好酸球
好中球
好塩基球
リンパ球

解答: e

109B50の解説

既往歴から性感染症のhigh riskが想定される。画像A, Bではすりガラス影がみられる。β-D-グルカンの上昇や鵞口瘡(口腔内に多発する白苔)と合わせ、ニューモシスチス肺炎が考えやすい。後天性免疫不全症候群〈AIDS〉であろう。なお「前額と鼻唇溝とに黄白色の鱗屑を伴う紅斑」はAIDS患者にもみられる、脂漏性皮膚炎である。
a~e CD4陽性Tリンパ球が減少する。ゆえに、eが正しい。

正答率:81%

テーマ:【長文1/3】後天性免疫不全症候群〈AIDS〉患者の白血球分画

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