109A57

32歳の女性。病院の薬剤師。夕方に職場で急に倒れて外来の処置室に搬入された。2年前からBasedow病で内服治療中であり1週前のFT4値は基準範囲内、体重もBasedow病の発症前より増えていた。本日も昼過ぎまでは元気に働いていた。身長158cm、体重62kg。体温36.2℃。脈拍104/分、整。血圧138/64mmHg。呼吸数14/分。呼びかけに反応しない。甲状腺腫を触知しない。全身に発汗が著明である。胸腹部に異常を認めない。血糖簡易測定で測定感度以下だったため、インスリン測定用の血液を採取してからブドウ糖を静注したところ覚醒した。
鑑別診断を進める上で、採取した検体で追加して測定すべき項目はどれか。2つ選べ
FT3
ACTH
Cペプチド
抗インスリン抗体
抗TSH受容体抗体

解答: c,d

109A57の解説

血糖簡易測定で測定感度以下であることから低血糖による症状と分かる。その鑑別をさせる良問。Basedow病の治療薬であるチアマゾールはインスリン自己免疫症候群を惹起する可能性がある、という事実を知っていると有利。本文に書いてあるように、採取した検体ではインスリン値を当然測定するのだが、それに加えて、前駆体からのインスリン遊離時に生成されるCペプチドと、抗インスリン抗体を測定する。
Cペプチドについては109B12でも出題あり。
a・e Basedow病自体の症状ではない。
b 下垂体由来のACTHが低下した場合にも低血糖はみるが、病歴からまっさきに考えるべき病態ではない。
c・d 正しい。上記の通り。

正答率:71%

テーマ:インスリン自己免疫症候群の検査

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