109A52

38歳の女性。労作時呼吸困難を主訴に来院した。29歳時に関節炎を発症し、同時にリンパ球減少、血小板減少およびネフローゼ症候群を指摘され、全身性エリテマトーデス〈SLE〉の診断で治療を受けている。3か月前から労作時の呼吸困難を感じていた。1か月前から階段を昇るときにも息切れを自覚するようになったため受診した。身長163cm、体重50kg。胸骨左縁第2肋間でII音の病的分裂と肺動脈弁成分の亢進とを認める。呼吸音に異常を認めない。尿所見:比重1.009、蛋白1+、潜血2+。血液所見:赤血球460万、Hb 12.1g/dL、Ht 36%、白血球8,600、血小板21万。血液生化学所見:アルブミン3.5g/dL、AST 67U/L、ALT 95U/L、LD 370U/L(基準176〜353)、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、抗核抗体640倍(基準20以下)。心電図(A)と胸部エックス線写真(B)とを別に示す。
労作時呼吸困難の原因を診断するために最も有用な検査はどれか。
冠動脈造影
心エコー検査
気管支内視鏡検査
ポリソムノグラフィ
ガリウムシンチグラフィ

解答: b

109A52の解説

「II音の病的分裂と肺動脈弁成分の亢進」と画像Bより、肺高血圧症が考えられる。全身性エリテマトーデス〈SLE〉が背景にあり、その合併症として生じたものと説明するのが妥当であろう。画像Aにて右軸偏位と右室肥大(V1でのR波増高)があり画像Bでは左第2弓の突出と右肺動脈幹の拡大(肺高血圧の所見)がみられる。
a 虚血性心疾患を疑った場合に行う。
b 正しい。肺高血圧による右心負荷を心エコーで確認する。
c 中枢型の肺癌を疑った場合に行う。
d 睡眠時無呼吸症候群〈SAS〉を疑った場合に行う。
e 悪性腫瘍の転移や全身の炎症性疾患を疑った場合に行う。

正答率:84%

テーマ:全身性エリテマトーデス〈SLE〉に合併した肺高血圧症の検査

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