109A30

75歳の女性。肺がん検診で胸部異常陰影を指摘され来院した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。意識は清明。身長155cm、体重48kg。体温36.8℃。脈拍92/分、整。血圧128/72mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球406万、Hb 12.3g/dL、Ht 37%、白血球6,300、血小板30万。血液生化学所見:総蛋白7.1g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.4mg/dL、AST 12U/L、ALT 10U/L、LD 182U/L(基準176〜353)、クレアチニン0.6mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 105mEq/L、CEA 2.5ng/mL(基準5以下)、CA19-9 2.7U/mL(基準37以下)、SCC 1.1ng/mL(基準1.5以下)。CRP 0.1mg/dL。呼吸機能検査所見:FVC 2.00L、%VC 101%、FEV1 1.66L、FEV1% 83%。心電図に異常を認めない。胸部エックス線写真(A)と胸部CT(B)とを別に示す。気管支内視鏡検査を行い腺癌の診断を得た。全身検索で肺門・縦隔リンパ節転移と遠隔転移とは認めなかった。
第一選択とする治療法はどれか。
縦隔リンパ節郭清を伴う左上葉切除術
縦隔リンパ節郭清を伴う左肺全摘術
放射線治療と抗癌化学療法との併用
左上葉腫瘍核出術
抗癌化学療法

解答: a

109A30の解説

すでに診断は書いてある。画像上もAにて左中肺野に腫瘤陰影を指摘でき、Bでは胸膜陥入や血管・気管支集束像がみられる。肺腺癌に矛盾しない。「肺門・縦隔リンパ節転移と遠隔転移は認めない」とあるため、手術可能と判断しよう。
a 正しい。上葉内に限局しており、左上葉切除が有効。
b 下葉にまでは広がっていないため、全摘は過剰な処置といえる。画像Aをみると一見中葉にあるように錯覚するかもしれないが、左肺に中葉は存在しない(舌区として上葉に含まれる)。
c・e 手術で取りきれる段階にある以上、第一選択とはならない。
d 良性腫瘍に対する対応である。

正答率:89%

テーマ:肺腺癌の治療

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