109I72

75歳の女性。顔面紅潮を主訴に来院した。半年前から家族に顔が赤くなったと言われるようになった。めまいや頭重感を時々自覚するようになったため受診した。喫煙歴はない。身長145cm、体重50kg。体温36.5℃。脈拍68/分、整。血圧158/90mmHg。顔面は紅潮している。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球773万、Hb 19.3g/dL、Ht 61%、白血球15,320(桿状核好中球20%、分葉核好中球55%、好酸球2%、単球6%、リンパ球17%)、血小板59万、好中球アルカリフォスファターゼスコア440(基準120〜320)。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、AST 20U/L、ALT 25U/L、LD 471U/L(基準176〜353)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸8.0mg/dL、Fe 29μg/dL、ビタミンB12 1,200pg/mL(基準250〜950)、エリスロポエチン2mIU/mL(基準8〜36)。CRP 0.1mg/dL。腹部超音波像で軽度の脾腫を認める。骨髄穿刺検査では有核細胞数72.5万で、赤芽球、顆粒球および巨核球の3血球系統が増加している。
今後の治療として適切なのはどれか。2つ選べ
瀉血
鉄剤投与
造血幹細胞移植
低用量アスピリン投与
多剤併用抗癌化学療法

解答: a,d

109I72の解説

高齢女性に赤ら顔、めまい・頭重感がみられている。赤血球が773万と著増しているのもさることながら、汎血球増加がみられている。これは真性赤血球増加症〈PV〉に特徴的な所見である。骨髄穿刺検査でも3血球系統がすべて増加しており、この診断を後押しする。
a 正しい。瀉血により赤血球量を減らす。
b Fe 29μg/dLと低値なのは造血亢進による材料不足であり、さらに鉄を補っても火に油を注ぐだけである。
c PVに造血幹細胞移植は用いない。
d 正しい。低容量アスピリン投与により血栓対策をすべき。
e 治療の一環としてヒドロキシウレアを用いることがあるが、これは代謝拮抗剤に分類される抗癌剤である。広義では化学療法と呼べるのだが、いずれにせよ多剤併用はしない。

正答率:82%

テーマ:真性赤血球増加症〈PV〉(真性多血症)の治療

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし