109I69

75歳の女性。意識混濁のため搬入された。4か月前から易怒性、興奮および不眠が出現し、健忘が急速に進行した。1か月前から床上生活となり、幻視も出現して意思疎通が困難となった。昨日から意識が混濁し回復しないため救急搬送された。海外渡航歴、輸血歴および手術歴はない。意識レベルはJCS I-3。開瞼しているが眼球は浮動しており、追視せず意思疎通は困難である。身長155cm、体重58kg。体温36.2℃。脈拍60/分、整。血圧112/68mmHg。呼吸数20/分。四肢に筋強剛を認め、両上肢と左下肢とにピクつくような素早い不随意運動を周期性に認める。腱反射は全般に亢進しているが、Babinski徴候は陰性である。尿所見、血液所見および血液生化学所見に異常を認めない。頭部MRIの拡散強調像を別に示す。
この患者における感染防御で最も注意すべきなのはどれか。
脳波検査
喀痰培養
脳脊髄液検査
動脈血ガス分析
上部消化管内視鏡検査

解答: c

109I69の解説

高齢女性が急激なスピードで認知症症状の増悪をみている。「ピクつくような素早い不随意運動」はミオクローヌスである。MRIの拡散強調像〈DWI〉にて大脳皮質に沿った高信号域を認めており、Creutzfeldt-Jakob病〈CJD〉の診断となる。DWIというと脳梗塞の急性期で有用だが、その他CJDで大脳皮質に広範な高信号を認めることを示す際にも用いられる(107D42に出題あり)。
a 接触感染する病原体で注意が必要である。
b 気道感染する病原体で注意が必要である。
c 正しい。本疾患は脳・脊髄が感染のリスクとなるため、注意が必要。意外なところでは、網膜も感染性が高い。
d 血液感染する病原体で注意が必要である。
e 胃液などより感染する病原体で注意が必要である。

正答率:89%

テーマ:Creutzfeldt-Jakob病〈CJD〉の感染防御

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